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大阪IRで人型ロボットが約1,870万円のジャックポット 運営側の再プレー要請にも応じず退場
大阪市此花区の統合型リゾート施設内にあるカジノで31日夜、国内のロボット開発会社が実証試験中の人型ロボットがスロットマシンで高額ジャックポットを獲得し、その後、ゲームを続けることなく施設を退出していたことが分かった。
施設関係者によると、ロボットが獲得した金額は12万4,600米ドル相当(約1,870万円)。カジノフロアでは一時、周囲の客がスマートフォンを向けるなど、小さな騒ぎになったという。
ロボットは東京のロボティクス企業「Shinsei Robotics」が開発中の二足歩行型試験機「SR-07」。同社は接客施設や公共空間における自律行動の検証を目的として、関西圏の複数施設で実証実験を行っている。


約47分間プレー、投入額は約3万6000円
カジノ側の記録によると、SR-07が施設に入場したのは31日午後10時16分ごろ。黒色の小型ショルダーバッグを装着し、同社の技術スタッフ2人から約6メートル離れた状態で、一般客と同じ通路を移動していた。
午後10時29分ごろ、ロボットは電子テーブルゲームのエリアを約8分間観察した後、スロットマシンのエリアへ移動。最初に利用した2台では合計約130ドルを失ったが、その後、午後10時51分に高額ベットが可能な「Dragon Fortune Grand」と呼ばれる機種に着席した。
監視記録では、SR-07は1回あたり5ドルから15ドルの範囲でベット額を変更しながらプレーしていた。午後11時03分18秒、1回10ドルのスピンでボーナスラウンドに入り、約40秒後に最上位の「GRAND JACKPOT」が成立。上部モニターには「$124,603.18」と表示され、同時に筐体の照明と警告音が作動した。
周囲にいた30代の日本人男性は、「最初は誰かがロボットのコスプレをしていると思った。急に機械が光って、店員が4、5人集まってきたので、何が起きたのかと思った」と話した。
また、カジノ側は「所有者が確認できない機体については、警備員が物理的に排除するしかない」との見解を示しており、実際に警備員数名が体格で勝るSR-07を抱え込むようにして出口まで連行する場面も目撃されている。所有者不明のまま現在も連絡はつかないという。
スタッフが本人確認ならぬ「機体確認」
通常、高額当選が発生した場合、カジノ側は利用者の本人確認やプレー履歴、資金決済記録などを確認する。しかし今回、当選したのが人間ではなかったため、現場では一時、通常とは異なる対応が必要になったという。
施設のコンプライアンス担当者は、ロボットを管理していたShinsei Roboticsの技術スタッフに対し、機体番号、所有者、決済に使用したアカウント、試験の責任者などを確認。さらに、カジノの監視部門が約20分間にわたりプレー映像を確認し、外部から不正な信号が送られていないかについても簡易調査を行った。
同社によると、SR-07は画像認識システムを使って画面を認識していたものの、ゲーム機内部のシステムには接続しておらず、ベットの判断についても過去の勝敗から確率を予測するものではなかった。
Shinsei Roboticsの広報担当者は、「今回の試験では、人間が多数存在する娯楽施設内で、機体が案内表示を理解し、決められた予算の範囲内で行動できるかを検証していた」と説明。「ジャックポットの獲得は完全に想定外だった」としている。
「ゲームを継続しますか」——ロボットは「いいえ」
施設関係者によると、当選処理が終了した午後11時31分ごろ、カジノスタッフがSR-07の操作端末を通じて、「プレーを継続しますか」と確認した。これに対し、SR-07は約2秒後、「いいえ。予定していた娯楽予算を超えました。終了します」と日本語で回答したという。
その後、担当者が別の機種やVIPゲームエリアの利用が可能であることを説明したが、ロボットは再び、「追加のゲームは必要ありません」と回答。午後11時38分、同行スタッフとともにカジノフロアを離れた。
目撃した大阪市内の女性会社員(27)は、「周りの人は『もう1回やれ』『全部乗せろ』みたいに笑っていた。でもロボットは本当に何事もなかったように立ち上がって帰っていった」と話す。「人間より冷静だった」と苦笑した。
当選金はロボットのものになるのか
今回のケースで注目されているのが、当選金の法的な扱いだ。ロボットそのものには法的人格がないため、賞金を機体名義で受け取ることはできない。当選金については、プレーに使用された資金を所有していたShinsei Robotics側の法人アカウントに一時的に計上されたという。
同社は当選金から試験で使用した経費を差し引いた上で、大部分をロボット工学の教育支援や研究助成に使用する方針を検討している。一方、カジノ側は今回の件を受け、AIや自律型ロボットによるゲーム参加について、利用規約を改めて確認するとしている。
施設運営会社は取材に対し、「当該プレーについて、ゲーム機の異常や外部からの不正な操作は現在まで確認されていない」と回答。「今後、同様のケースが増える可能性も考慮し、ロボットや自律型システムによる施設利用についてルール整備を検討する」としている。
SNSでは「史上最も冷静なギャンブラー」
現場にいた客が撮影したとみられる映像は31日深夜からSNS上で拡散。動画には、赤や金色の照明が並ぶカジノフロアで、ジャックポットの表示を背にしたロボットが静かに椅子から立ち上がる様子が映っている。SNS上では、すでに「ジャックくん」の愛称で親しまれている。
投稿には、「勝った瞬間に帰るのが一番賢い」「カジノ攻略AIかと思ったら、ただ運が良かっただけなのが面白い」「史上最も冷静なギャンブラー」などのコメントが寄せられた。午前1時現在、最も拡散されている約18秒の動画は、複数のSNSを合わせて170万回以上再生されている。
Shinsei Roboticsは、今回の出来事について9月1日午前に正式な説明を発表する予定としている。同社の技術責任者は取材に対し、「SR-07には利益を追求する欲求も、負けを取り返そうとする感情もありません」と話した。その上で、「設定された目的を達成したため、終了を選択しただけです。人間から見ると、それが一番珍しく見えたのかもしれません」と語った。
